2009年12月 2日

ジングルベルの頃

本年を締めくくる仕事に、必要なものを買い出すのに京都へと出かけた。
白梅町の前の豆腐屋さんでは、近くの警察署まで延びた行列ができており、ここもあれか?スウィーツか?と思い巡らせながら西を目指した。

師走と云うだけあって、ミニバイクで駆けるお坊さんを通りごとに見かけた。
檀家へのあいさつと、最後の法話を聞かせるのに忙しいのだろう。

下の娘が新型で休んでいることもあり、何か元気の出るモノをと思っていたのだが、目的のお店での仕事の話が長くなり、クリスマスやお正月のお飾りやらカレンダーやらを、ゆっくりと探してやることは出来なかった。
代わりに東洞院のタルトを買って帰ることにした。ロールケーキで有名なこのお店は、もう店頭ではそれを求めることは出来なくなり、通販のみになったと聞いている。それも予約の電話が全く繋がらないため"幻"と冠されているらしい。

もうひとつのリクエストは"豆パン"だった。百貨店のベーカリーでうぐいす豆がこれでもかと入った、フランスパン生地のコッペと、金時豆が詰まったライ麦パンを沢山買ってやった。

自身には同窓会用に購入した一張羅に合うシャツを探したが、中々良いものは見つからず、クローゼットで眠っているのを起こす必要になりそうだ。

今日は穏やかさを通り越して、汗ばむほどに暖かい一日を、すすっと走り抜けた感じだった。
両手に荷物を抱えて百貨店を出ると、ジングルベルが聞こえてきた。
いつもはもう薄暗がりの時刻だったが、今夜は満月に照らされているせいかほんのりと明るく、月光が通りを満たすような深夜に、やっと静寂が訪れるのだろう。それほど都ではせわしく人が行き来していた。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年11月25日

キャロルは3Dハッチバック

連休最後の日に、混んだ国道を避けて旧道に入ったのが運のつきだった。
「もう間に合わへんよ ! どうする ?」
「ここは大昔は追いはぎが出たらしい、、?」
「そんなごまかすようなことを、子たちに話さないで ! 」

子どもが来週には期末テストを控えているのに、遊びに連れてゆく親がここにいる。
「クリスマス・キャロルって映画なあ、、3Dなんやて、、。観に行ってみるか?」
「3Dって何 ? 」
「赤と青の眼鏡、、、ほらUSJでバットマンの乗り物あったやろ、、。」

だが、駆け込みでチケットを求め、その肝心のメガネを探したが見つからず、仕方なしに予告編の途中から入れてもらった館内の薄暗がりの中ではそのようなメガネをかけている人は一人もいなかった、、。

ああ、、父を許せ、、。
家に帰って新聞を広げてみると、宣伝欄の下のほうに本当に小さな文字で "一部の映画館" と書かれてあった。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年11月12日

女の道はLabyrinth

そろそろ冬支度をと、昨年の計画表を元にいろいろと思いを巡らし、方々に連絡をしてみたが"クラゲ"や"温暖化"のせいなのか、例年と違い手に入る材料が限られているようだ。
限りある資源は大切にするようにと、子たちも話してはいるが、こと自然界の話に及ぶと何を為すべきで、何が出来ることかをいざ実践することは難しいことだ。

今日は午後から休みなので、子たちが学校から戻るのを待って「パンズ・ラビリンス」を観る。
もう3年近くも前の映画だが、まだ小さかった子たちには、その余りにもリアルな映像表現や残酷なシーンがあるために、封切り時には観せてやることが出来なかった。(予告編を観ていたし、R12指定だったように覚えている)
無垢な少女が愛情に飢え、何一つ報われずに若くして滅してしまう話なのだが、その幼い子が残した魂の在り方が最後に語りかけてくるようだった。
「本当にオフェリアは王女様だったの? どうしてあんなにがんばったのに最後は死んでしまったの、、。」

三つの試練を勇気と智恵で乗り越えてゆく姿には、ハラハラとしながらも応援するように唇に力が入っているようだった。そしてファンタジーであっても"アリス"や"ライラ"、"千と千尋"とは違い、初めてのハッピーエンドではない展開に戸惑いもあるようだった。
内乱やリンチで人が殺されたり、グロテスクなモンスターの出てくる場面では眼をつぶっていたが、月光の下の少女の死のラストシーンでは潤んでいた。

「、、イイ夢をみる為には、何が必要なんかな? どうゆうふうに毎日過ごすのがエエのんかな、、?」
夢と現実が交差する場面の転換は、子たちには理解しがたく、頭の中で整理しきれなかっただろうが、少女の純な気持ちや正義感には強く共感していたようだった。
全編を通して少女とその母、実はレジスタンスだった召使い、、、女の強さが引き立った感を持ったのは、私だけだったのだろうか?

朝食>ライ麦パン、コーヒー、サラダ(トマト、サニーレタス、胡瓜)、煮抜き、ヨーグルト(柚子茶入り)
昼食>野菜炒めのせラーメン、稲荷すし
夕食>温サラダ(レタス、ほうれん草、じゃがいも)、手羽中塩焼き、蕪昆布和え、ネギの味噌汁

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年11月 9日

冬来たりなば、、

暖かくした部屋でフンフンと首でリズムを取りながら、アイスクリームを運んだままのスプーンの先がお辞儀している。立冬を迎えても、冷たいもので熱くなれるのが子どもなのか?
クラブ休みの放課後は、友達と話し込んで帰りが遅くなることもなく、真っ直ぐ帰ってきてコンロの前で"儀式"が始まる。
それは「クレープ」をいかに薄〜く焼くかということだった。
夕べのことだった、、。
「上等の薄力粉買ってきて! そば粉もあれば、、。」
「うどん作るて言うてたやん? 強力粉とちゃうのん?」
「もう、進路変更したんよ! "線"やなくて、"面"にしたん!"麺"とはちがうんよ、、。」
「線って、、ああ、紐状ではなく平らに広げるやつか!」

クレープ・シュゼットにありつけるか? まあ、要らぬ希望は他所へやって仕事場で使っているものを、少し分けてもらい「粉もの応援団」は帰ってきた。
「玉子は上等のあるの! お母さん、、。」

もう応援団輸送部隊の役目は終了で、カゴの蜜柑の皮と中のスジとを丁寧にむくアシスタントに様変わりさせられた。
「オレンジもあるけど、蜜柑でええのか?」
「冬はね、やっぱ蜜柑が一番よ! ほら、何とか言う人の、汽車に乗ってる女の人に蜜柑をあげるお話あるやん!」
「・・・あくたがわのことか? ホンマに読んだんかな?」

蜜柑に集中しているうちに、香ばしく焼かれた微かな匂いが、こちらまで流れついた。
が、実際に焼き上がったクレープを眼にすることはなく、一枚ずつ丁寧に重ねられ、手ぬぐいで抱えられるようにして、休み時間になってしまった。

朝食>サンドウィッチ(焼き)、ヨーグルト焼きリンゴ入り、コーヒー、柿、トマトサラダ
昼食>ビーフンの炒め、かしわ唐揚げ、ご飯、揚げと茗荷の味噌汁、糠漬け(カリフラワー、人参)
夕食>カレーライス、グリーンサラダ


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月24日

Short Trip

子どもがパラパラとめくっているのを、ちらと横目で見ながらこちらでもページを繰る。
幼子が描いたような宇宙をゆくロケットが、文庫本の黒い表紙が照り返されるたびに眼の端に入ってくる。
「今日はどれとどれにするかな、、?」
「ドとレだけでミとかファはないのん?」
「それって"親父ギャグ"って云われてるのん? どの物語にしとこかなって考えてるんよ!」

かわいい子には、、、と云われるように「旅・冒険」をテーマに据えたその本は、SFの力を借りて子たちに出発を促すような短編が詰まっている。
自らの意思と、行動によって深めてゆく見聞が、大人になるにつれ見えないものに左右されがちな生き方を正してゆくことを語っている。

一話はたった3ページなのだが、子たちが得るものは大きいようで2,3の物語の読後、余韻に浸るようにド派手な雑記帳に何やら書き込んでいる。
挿絵を写すだけのもあるが、「目頭を押さえる」とか「ものすごい形相」とか表情に関した言葉を抜き書きしている。シナリオのト書きだけがならべられたふうで、つい指示されているような感じになるおかしなページなのだが、当の本人は真剣でおやつも置いてしきりに鉛筆を動かしている。

時に、そのただひたすらにその事だけに没入できることは羨ましく思う。

朝食:バゲット2切れ、コーヒー、葡萄ジュース
     サラダ(マッシュポテト、ブロッコリー、レタス)
昼食:肉じゃが(丼にして玉子を割り入れたやつ)
     厚揚げの炊いたん、酢もずく、豆腐の味噌汁
夕食:チジム、トマトのマリネ、湯豆腐
     サラダ(水菜、ニラ、胡瓜、人参)、


| | コメント (2) | トラックバック (0)

«台風一過の一家